遺言書の検認

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遺言書の検認

2019/12/09

 今回は遺言書の検認についてお話いたします。

 公正証書遺言以外の方式の遺言書、つまりは自筆証書遺言及び秘密証書遺言については、公正証書遺言と異なり、公証役場で原本が保管されていないため、遺言者の死亡後、遺言書が第三者によって内容が書き換えられてしまう恐れがあります。それを防ぐために設けられている手続きが検認手続きとなります。民法では、遺言書の保管者、遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して検認の請求をしなければならないとされています。

 家庭裁判所に遺言書を提出の上、検認の請求をすると、裁判所から各相続人へ通知が届き、指定されて日時に相続人が家庭裁判所に集まって、遺言書の存在とその内容を確認することになります(封印されている遺言書は検認の際に開封されます。なお、通知を受けた相続人に検認期日に出席する義務はありません。)。このように検認とは、相続人に対し、遺言書の存在と内容を知らせるとともに、検認日現在における遺言書の内容を明確にして、その後の遺言書の偽造や変造を防止するために手続きとなります。なお、封されている遺言書につき、検認手続きを経ずに開封していますと、5万円以下の過料に処される恐れがあります(過料の恐れがありますが、遺言書の効力に影響はありません。)。

 また、この検認は、前述のとおり、相続人で遺言書の存在と内容を確認するための手続きのため、同手続き内で裁判所が遺言の有効・無効を判断することはありません。したがって、遺言書の存在等につき疑義がある場合は、別途遺言無効確認訴訟を提起する必要があります。

 

 ところで、前回、来年から開始する法務局における遺言書の保管制度により、法務局に保管された遺言書は検認の必要がない旨お話しましたが、これは法務局に遺言書の原本が保管されることにより、遺言書の改ざんのおそれがなくなるためです。

 検認を受けていない遺言書については、不動産の相続登記や預貯金の払い戻しなどの相続手続きができず、一方で検認をするとなると、裁判所へ提出する申立書を作成したり戸籍を集めたりと手間がかかり、加えて裁判所における手続きのため、検認が終了するまでに受理された後2、3か月程度の時間も要することになります。

 したがって、近い将来、自筆証書形式の遺言書を法務局が保管してくれるとなると、この検認手続きが不要となり、また紛失や改ざんのおそれもなくなるため、利用者は増えるものと思われます。そうはいっても、公正証書による遺言についても、公証人が遺言書を作成し、一応遺言者の遺言能力も確認しますので、多少費用がかかっても、今後も選択される方が多いと思われます。