配偶者居住権について③   大田区の司法書士のブログ

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配偶者居住権について③当事者間の法律関係   大田区の司法書士のブログ

2020/05/09

 配偶者居住権について、今回は配偶者と居住建物の所有者との間の法律関係について、民法の条文を示しながら以下列記していきます。

 

⑴ 使用及び収益 ならびに禁止事項 

 配偶者は無償で居住建物を使用及び収益できる(賃貸借のように賃料といった対価は不要)が、配偶者居住権を譲渡することはできず、また居住建物を増改築したり、第三者に使用、収益させるには、居住建物の所有者の承諾がないとできない(民法第1028条1項及び第1032条2項、3項)。なお、配偶者の使用収益権限が及ぶ範囲は、居住建物の全部となる。

 

⑵ 用法遵守義務及び善管注意義務

 配偶者は、従前の用法にしたがって、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。もっとも、相続開始前には配偶者が使用していなかった部分や居住の用に供していなかった部分についても、居住の用に供することは妨げられない(民法第1032条1項)。配偶者居住権は居住建物の全部に及ぶことから、従前使用していなかった部分も使用することができることになる。

 

⑶ 居住建物の修繕及び費用負担

 居住建物の修繕が必要な場合は、まず配偶者において修繕することができ、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしない場合は、居住建物の所有者がその修繕をすることができる(民法第1033条1項及び2項)。

 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する(民法第1034条1項)。

 ※必要費=居住建物の保存に必要な通常の修繕費のほか、居住建物の固定資産税も含まれるものと考えられる(最二判昭和36年1月27日集民48号179項)。固定資産税の納税義務者は居住建物の所有者であるため、所有者は固定資産税を納付した場合、配偶者に求償(納税した分を請求)することができる。

 

⑷ 居住建物の所有者による配偶者居住権の消滅請求

 配偶者が用法遵守義務・善管注意義務に違反した場合、あるいは居住建物の所有者の承諾を得ずに、居住建物を第三者に使用収益させたり、増改築した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をしたにもかかわらず、配偶者がこれに応じない場合には、居住建物の所有者は、配偶者に対する意思表示によって、配偶者居住権を消滅させることができる(民法第1032条4項)

 

⑸ 損害賠償請求及び費用償還請求権の期間制限

 用法遵守義務・善管注意義務違反によって生じた損害の賠償請求及び居住建物についての費用償還請求は、居住建物の所有者が建物の返還を受けたときから1年以内にしなければならない(民法第1036条)。