相続登記をしていないと・・港北区での相談

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相続登記をしていないと・・・ 港北区の司法書士のブログ

2020/03/04

 3月に入り、自宅近くの公園では「オカメザクラ」が見られるようになりました。日中も次第に暖かくなり、少しずつ春の訪れを感じるようになっています。日の出も早くなりましたので、朝の散歩やジョギング、ゴルフ練習など朝早時間を活かして、健康的に過ごしたいと思います。

 さて、今回は最近のご相談で、相続登記を長年されていなかった案件が散見されましたので、相続登記をしないことでどのような不都合な点があるかについて、お話したいと思います。

 不動産をお持ちになられている方に相続が発生しますと、その法定相続人が相続発生時に法定相続分にしたがって不動産の所有権を取得します(配偶者は2分の1、子は残りの2分の1を按分といった具合に。法定相続人と相続分については次回詳説いたします。)。人の死亡によって、当然相続が発生し、不動産所有権を取得することになりますが、不動産の名義は自動的に相続人へと変わるものではないので、相続人から相続登記の申請をする必要があります。この時、相続人間で遺産分割協議をし、誰がどの程度相続するかなど相続する方法を決めて、これにしたがった相続登記をすることが一番望ましい形といえます(法定相続分に応じた相続登記ももちろんできますが、相続人全員の遺産分割協議により、配偶者だけが取得するなど相続の割合を自由に変えることができます。)。

 このように相続登記が完了すればよいのですが、相続人間で話がまとまらないとか、費用がかかる、手続きがよくわからない等の理由で相続登記をせずに長い間放置してしまうと、以下のような不都合に見舞われる恐れがあります(現時点では相続登記は義務とされておりませんので、申請の期限や懈怠による罰則はありません。)。

 大正や昭和初期生まれの方に相続が発生し、その方に配偶者と複数の子がいるケースでは、その後、子数人にも相続が発生することにより、子の子(被相続人からみたら孫)が相続人となり、数次相続を含めて相続人の数を計算すると、20人近くになることは往々にしてあります。現在と比して昔は子供が大勢いるのが当たり前でしたので、長年相続手続きをしないでいると、その後の相続発生により、相続人の数が一気に増加していく傾向にあります。このような状態に陥ると相続人全員での話し合いは極めて困難といえます。さらに、被相続人の子も高齢となっていて、認知症にかかり、協議をするだけの能力がなく、家庭裁判所における手続きを経て、成年後見人を付ける必要が生じるだとか、行方不明者がいるなどの様々な事情により、相続登記ができずに(できたとしても相当の時間と費用をかけて多数の共有者名義になり)、不動産の有効活用あるいは処分ができないといったリスクが生じます。なお、相続放棄(一切の遺産を相続しないこと)をして、煩わしい相続手続きから離脱したいと考える方もおられますが、相続放棄は「自分のために相続があったことを知ってから3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要がありますので、放っておくことによって、相続手続きから離脱できないといったリスクもあります。

 このようなケースでも、弁護士に依頼するなどして時間と費用をかけて根気強く望めば、解決に至ることもあると思いますが、できる限りスムーズかつシンプルに相続手続きを終わらせるためにも、相続が発生した際には、専門家(単に相続登記であれば司法書士、相続人間での話し合いがうまくいかない場合は弁護士)に相談をしたうえで、迅速に対応することが大切と言えます。